
行き先がどこであっても、海外旅行には共通して起こり得るトラブルが存在します。本記事では、その中でも発生頻度・影響度の高い9つのリスクを取り上げ、実際の事例や背景知識を交えながら、予防策と対応方法を詳しく紹介します。
1. スマホの紛失・盗難
旅先で最も使用頻度が高いスマートフォンは、紛失や盗難の被害も多く、これ一つで情報・連絡・地図など多くの機能を失うことになります。特に大都市や混雑した観光地では、置き忘れやスリが頻発しています。
主なリスク
- 観光地や空港での置き忘れ、カフェでのスリ
- タクシー車内に置いたまま降りてしまう
対策
- スマホには必ずネックストラップやハンドストラップを付ける
- Apple AirTagやTileなどのトラッカーを付けておく
- 紛失時に備え、LINEやGmailなどの主要サービスに他端末からログインできるよう設定
- 紙に大使館連絡先や宿泊先情報を書いて携行
2. 通信できない(Wi‑Fi不安定・公共Wi‑Fiの危険)
現地に着いてから「ネットに繋がらない」ことで、空港から市内への移動ができず、予約確認もできずに立ち往生する人は後を絶ちません。また、カフェなどのフリーWi-Fiは便利な一方で、セキュリティリスクも高く、個人情報の盗難事例も多発しています。
主なリスク
- 現地SIMがアクティベートされない
- 公共Wi-FiでIDやパスワードが盗まれる
- SNSアカウントや銀行口座の不正ログイン
対策
- 出発前にeSIMをインストール、もしくはポケットWi-Fiをレンタル
- VPN(仮想プライベートネットワーク)で通信内容を暗号化する
- SNSやメールアカウントには二段階認証を設定
3. 食あたり・体調不良
日本と異なる水や食材、衛生環境により、腹痛や下痢に悩まされる旅行者は非常に多く、特に南アジアや中南米では深刻化しやすいです。症状が軽くても旅程に支障が出るため、予防が肝心です。
主なリスク
- 生水や氷、生野菜に含まれる細菌
- 油が多すぎる料理、スパイスによる刺激
対策
- 屋台や水道水は避け、ペットボトル水を使用
- 整腸剤や下痢止め薬を常備
- お腹を冷やさないよう腹巻なども活用
- アルコール消毒ジェルやウェットティッシュも活用
4. 気候による体調トラブル
日本と気候が大きく異なる地域では、気温・湿度・紫外線の影響を受けて体調を崩しやすくなります。気温差による疲労、乾燥による喉の不調、冷房による冷えなどが旅行を台無しにします。
主なリスク
- 熱中症、脱水症状
- 乾燥で喉を痛める、鼻血
- 朝晩の寒暖差で風邪
対策
- 着脱しやすい服装を用意(ウルトラライトダウンなど)
- ネッククーラーやクールタオルを携行
- 保湿マスクやのど飴、鼻スプレーなどもあると安心
5. 飛行機の遅延・ロストバゲージ
空港でのトラブルもよくあるストレス要因です。特にロストバゲージは国をまたいでの手配になるため、手元に戻るまで数日かかることも。
主なリスク
- 荷物が別の空港に送られてしまう
- 遅延で乗り継ぎ便に間に合わない
対策
- 最低1泊分の着替えや薬、充電器などを機内に持ち込む
- 荷物にAirTagを入れて場所を追跡
- 遅延や紛失に備えた保険加入も検討
6. クレジットカードの不正利用・利用不可
スキミングや不正利用、あるいは現地ATMや加盟店でカードが使えない事態は金銭的に困るだけでなく、精神的にも焦りを生みます。
主なリスク
- クレカ情報を読み取られるスキミング被害
- 現地通貨が引き出せず、移動や宿泊に支障
対策
- 海外旅行用のサブカードを準備し、別々に保管
- スキミング防止カードやケースを使う
- 必要最低限の現金も両替しておく
7. 交通トラブル(事故・ぼったくり・遅延)
海外では交通事情やルールが異なり、運転マナーも荒いことがあります。無防備に移動すると事故や詐欺のリスクが高まります。
主なリスク
- メーターを使わず高額請求するタクシー
- 後部座席にシートベルトがなく、事故時に重傷
- 長距離バスでの盗難
対策
- GrabやUberなどの配車アプリを使用
- 後部座席でもシートベルトを確認・装着
- バス移動時は貴重品を肌身離さず、リュックの鍵も必須
8. 知らない人・ストレンジャーリスク(詐欺・薬物混入)
「現地の人が親切だった」と思ってついて行ってしまう観光客が、後から高額請求されたり、ドリンクに薬を入れられる事件も報告されています。
主なリスク
- 「観光案内してあげる」と誘われ、高額な土産物を売りつけられる
- バーやクラブでドリンクに薬物を混入され、財布やスマホを奪われる
対策
- 路上での話しかけには基本的に対応しない
- 自分のドリンクは絶対に目を離さない、受け取らない
- SNSやマッチングアプリで出会った相手とは、昼間のカフェで会うなど慎重に行動
9. 薬物・医療関連トラブル(処方薬・違法薬物・高額医療費)
知らずに持ち込んだ市販薬が現地で違法薬物に分類されるケースがあり、最悪逮捕されることも。さらに、旅先で病院にかかった場合、医療費が非常に高額になります。
主なリスク
- シンガポール、UAE、タイなどでは処方薬の成分が違法扱いされることもある
- 盲腸の手術で200万円以上、1泊入院で50万円の請求(アメリカ)
対策
- 服薬中の薬は、成分名を英語で明記したリストと処方箋を一緒に持参
- キャッシュレス対応の海外旅行保険(カード付帯でも可)に加入
- 症状を説明するための医療翻訳アプリをスマホに入れておく
まとめ
海外旅行のトラブルは、起きる前に備えておくことで8割防げます。
- スマホや通信環境、カードなど「命綱」の整備
- 他人に油断しない心構えと行動の知識
- 万一の医療トラブルや事故に備えた保険・情報整理
「何もなかった」が一番ですが、「何かあったとき」に備えておくことが、安心で自由な旅を楽しむ最大のコツです。