インド東部に位置するコルカタ(カルカッタ)は、文化的な豊かさや歴史的な建築物が魅力の都市です。マザー・テレサゆかりの地としても知られ、多くの旅行者が訪れます。
しかし、他の多くのインドの都市と同様に、日本人旅行者が巻き込まれる可能性のある「うざい」トラブルや、金銭的な要求、詐欺が存在する現実があります。特に「親切の押し売り」や「ぼったくり」は日常的に遭遇する可能性があり、事前に心の準備をしておくことが安全で快適な旅の鍵となります。
この記事では、日本人に人気のコルカタの観光スポット10選を紹介します。有名観光地に潜むリスクを合わせて注意喚起をしています。訪れる前の心構えにご利用ください。
コルカタ人気観光地10選:日本人旅行者が「特に警戒すべきリスク」と対策
1. ヴィクトリア・メモリアル (Victoria Memorial)

白い大理石で造られた壮麗なヴィクトリア・メモリアルは、コルカタの象徴的な建造物です。かつてインドを統治したヴィクトリア女王を偲んで建設されました。
タージ・マハルを彷彿とさせるその威容と、広大な庭園が特徴です。館内は博物館となっており、英国統治時代の貴重な資料や美術品が多数収蔵されています。
特に夕暮れ時のライトアップは幻想的で、昼間とは異なる雰囲気を楽しめます。市民の憩いの場としても親しまれており、地元の人々の日常に触れることもできます。歴史と建築美、そして静寂な空間が融合した場所です。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- 白い大理石の建物がとても美しく、タージ・マハルを彷彿とさせる。
- 広大な庭園でのんびり過ごすのが心地よい。地元の人々も多く、生活感が感じられる。
- 夜のライトアップは非常にロマンチックで、昼とは違う美しさがある。
気になる点
- 博物館の展示は少し古い印象がある。
- 庭園が広く、歩き疲れることがある。
- 観光客が多く、特に週末はかなり混雑する。
警戒リスク – レベル1
敷地外や入り口付近で、「タクシーいらない?」「ガイド必要?」といったしつこい声かけや、物乞いに遭遇することがあります。庭園内も、親しげに近づいてくる人物には警戒が必要です。
対策
- はっきりと「No, thank you.」と断るか、無視して立ち去る。
- 一度応じると、しつこくなる傾向があるため注意。
- 金銭を要求されても安易に応じない。
2. ハウラー橋 (Howrah Bridge)

フーグリー川に架かるハウラー橋は、コルカタのスカイラインを象徴する巨大なカンチレバー橋です。その最大の特徴は、橋脚を持たない圧倒的な規模と、一日中絶え間なく続く人々と車両の往来です。
早朝から深夜まで、バス、タクシー、リキシャ、そして無数の人々が行き交う様子は、コルカタのエネルギーと活気を肌で感じさせます。特に夕暮れ時には、ライトアップされた橋が川面に映り込み、幻想的な光景を作り出します。
橋の上からは、フーグリー川を行き交う船や、対岸の街並みを一望でき、コルカタのダイナミックな日常を体感できる場所です。
警戒リスク – レベル2
橋の上やたもとは非常に混雑しており、スリやひったくりの温床となりやすいです。
特にスマートフォンやカメラを無防備に扱うと狙われやすいです。
対策
- 貴重品は体の前で管理し、バッグはチャックを閉めて肌身離さず持つ。
- 夜間の一人歩きは絶対に避ける。
- スマホやカメラの操作中は周囲に最大限の注意を払い、撮り終わったらすぐにしまう。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- コルカタの活気を象徴する風景。橋を渡るだけでもインドらしさを感じられる。
- 夜景は特に美しく、ライトアップされた姿は圧巻。
- フーグリー川の景色と合わせて、独特の雰囲気がある。
気になる点
- とにかく人が多く、混雑が苦手な人には向かない。
- 歩道が狭く、交通量も多いので、歩くのが少し危険に感じる。
3. マザー・ハウス (Mother House)
マザー・ハウスは、ノーベル平和賞受賞者であるマザー・テレサがその生涯を捧げた「神の愛の宣教者会」の本部であり、彼女が活動した場所です。世界中から多くの巡礼者や訪問者が訪れ、静かに祈りを捧げる空間となっています。
マザー・テレサの質素な生活を感じさせる部屋や、彼女の遺品が展示されており、その奉仕の精神に触れることができます。騒がしいコルカタの街中にありながら、一歩足を踏み入れると静寂と安らぎに包まれ、心が落ち着くような感覚を覚えます。
宗教や国籍を問わず、多くの人々にとって精神的な支えとなる場所です。
警戒リスク – レベル2
周辺で親切を装って日本語で話しかけてくる人物に注意が必要です。「日本人と友達になりたい」「日本の文化が好き」などと近づき、別の場所(例:旅行代理店、お土産屋、宗教施設)へ誘導し、高額なツアーや商品、寄付を騙し取る詐欺が報告されています。
心がまえ
- 日本語で話しかけられても立ち止まらず、話に乗らないのが鉄則。
- 「ノー、サンキュー」と一言で断り、すぐにその場を離れる。
- 見知らぬ人からの誘いには一切応じない。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- マザー・テレサの精神に触れ、心が洗われるような気持ちになる。
- とても静かで厳かな雰囲気で、落ち着いて過ごせる。
- 彼女の質素な生活と奉仕の精神を感じることができる貴重な場所。
ネガティブな声
- 展示物が少なく、観光的な要素は少ない。
- 祈りの場であるため、観光気分で行くと拍子抜けするかもしれない。
4. カーリー・ガート寺院 (Kalighat Kali Temple)
カーリー・ガート寺院は、ヒンドゥー教の破壊と創造の女神カーリーを祀る、コルカタで最も重要かつ熱狂的な寺院の一つです。毎日常に多くの信者と巡礼者で溢れかえり、その熱気と独特の雰囲気は、他の寺院では味わえない強烈な体験を提供します。
寺院内では、生贄の儀式(現在はヤギなど)が行われることもあり、インドの奥深い宗教文化を垣間見ることができます。その混沌とした活気と、信者たちの熱心な祈りの様子は、見る者を圧倒するでしょう。
コルカタの精神的な中心地として、歴史と信仰が深く結びついた場所です。インドの多面性を体験したい旅行者には、一つの選択肢となります。
警戒リスク – レベル3
- 強引な自称ガイドによる高額請求。
- 供物や寄付を装った法外な金銭要求。
- 「祈り」や「お払い」を名目にした高額な「お礼」の強要。
- 一度お金を払うと、さらに多くの金額を要求される(「お前は日本人だから金持ちだ」と言われるケースも)。
- 混雑に乗じたスリ。
心がまえ
- 寺院周辺では、全ての人を詐欺師だと思って警戒するくらいの心構えで臨む。
- 話しかけられても絶対に立ち止まらず、目を合わせず、無視して速やかに進む。
- 「ガイドは要らない」「寄付はしない」と、強く、しかし冷静に断り続ける。
- お金を要求されても、絶対に支払わない。毅然とした態度を貫く。
- 貴重品は最小限にし、分散して管理。バッグは体の前に抱える。
- もし強引に腕を掴まれたりしても、大声を出して周囲に助けを求める姿勢を示すと、相手がひるむことがある。
旅行者の本音|口コミ
- ヒンドゥー教の信仰の深さと熱気を肌で感じられる、他に類を見ない体験ができる。
- コルカタの生きた文化と宗教観に触れることができる。
- 独特の雰囲気とエネルギーに圧倒される。
ポジティブな声
- ヒンドゥー教の信仰の深さと熱気を肌で感じられる、他に類を見ない体験ができる。
- コルカタの生きた文化と宗教観に触れることができる。
- 独特の雰囲気とエネルギーに圧倒される。
気になる点
- 非常に混雑しており、強引な物売りや自称ガイドが多い。
- 金銭を要求されることが多く、断るのが難しい場合がある。
- 衛生状態があまり良くなく、裸足になる場所もあるので注意が必要。
5. インド博物館 (Indian Museum)
インド博物館は、1814年に設立されたインド最古かつ最大級の博物館で、コルカタの中心部に位置しています。広大な敷地内には、考古学、人類学、地質学、動物学、経済植物学、芸術の6つの主要な部門に分かれて、膨大な数の貴重なコレクションが収蔵されています。
特に、仏教美術のコレクションや、モヘンジョ・ダロやハラッパーといった古代文明の遺物、さらには恐竜の骨格標本などが見どころです。インドの豊かな歴史、文化、自然科学を一挙に学ぶことができる場所です。
じっくりと見て回るには数時間が必要となるほど、見どころが多い博物館です。
警戒リスク – レベル2
博物館自体は安全ですが、周辺(特にニューマーケット側)では、しつこいタクシーの勧誘や、旅行代理店への誘導、偽のチケット販売詐欺などに注意が必要です。
対策
- チケットは必ず博物館の正規の窓口で購入する。
- 見知らぬ人からの「お得な情報」には耳を傾けず、毅然と断って速やかに目的地へ向かう。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- インドの歴史、文化、自然について網羅的に学べる。
- 特に考古学セクションの仏教美術や古代文明の遺物は見応えがある。
- 広々とした空間で、じっくりと展示を見ることができる。
気になる点
- 展示物が古く、説明が不十分な場所もある。
- 施設全体が老朽化している印象を受ける。
- 非常に広大なので、全てを見て回るには時間がかかり、疲れる。
6. サンデーマーケット (Sunday Market – Mullick Ghat Flower Market)
サンデーマーケット、特にマリック・ガート花市場は、ハウラー橋のたもとに広がるインド最大の生花市場です。毎週日曜日の早朝から、コルカタ中から集まる花々で市場は色鮮やかに染め上げられ、圧倒的な活気に包まれます。
ターメリック色のマリーゴールドから、ヒンドゥー教の儀式で使われる蓮の花、そしてあらゆる種類の生花が山と積まれ、その香りが辺り一面に漂います。花を仕入れる業者や、寺院へ供えるために花を買いに来る人々でごった返し、まさにコルカタの日常の喧騒と活気を肌で感じられる場所です。
写真撮影にも適したスポットで、インドらしいエネルギッシュな風景を体験できます。
警戒リスク – レベル2
人でごった返しており、スリやひったくりが多発する場所です。特に、写真撮影に夢中になっていると狙われやすいです。
対策
- バッグは体の前に抱え、貴重品は分散して管理する。
- スマホやカメラの操作中は周囲に最大限の注意を払い、撮り終わったらすぐにしまう。
- 夜間の一人歩きは絶対に避ける。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- コルカタの日常の活気と色彩を肌で感じられる、非常に魅力的な場所。
- 色とりどりの花が美しく、写真撮影が楽しい。
- インドのローカルな雰囲気を体験できる貴重な機会。
気になる点
- 非常に混雑しており、人混みが苦手な人には辛いかもしれない。
- 衛生状態はあまり良くない。
7. プリンセップ・ガート (Prinsep Ghat)
プリンセップ・ガートは、フーグリー川沿いに位置する歴史あるガート(階段状の埠頭)で、美しい建築物と穏やかな川の景色が特徴のスポットです。特に夕暮れ時には、夕日が川面に映り込み、息をのむような光景が広がります。
地元の人々が散歩を楽しんだり、ボートに乗って夕焼けを眺めたりと、コルカタの喧騒から離れてリラックスできる場所として親しまれています。ギリシャ風のアーチ型建築物である「プリンセップ・メモリアル」がランドマークとなっており、写真スポットとしても適しています。
ボートに乗って川からハウラー橋を眺める体験もできます。
警戒リスク – レベル2
- ボートの料金交渉でぼったくりに遭う可能性があります。
- 夕暮れ時以降の人通りの少ない場所での強盗や暴行のリスクが高まります。
対策
- ボートに乗る際は、乗船前に必ず料金を明確に交渉し、追加料金が発生しないことを確認する。
- 夜間は単独行動を避け、信頼できる交通手段を利用するか、明るい時間帯に訪れることをお勧めします。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- 夕日が川に沈む光景が素晴らしく、ロマンチック。
- コルカタの喧騒から離れて、静かに過ごせる場所。
- 美しい建築物と川の景色が絵になる。
気になる点
- 観光客向けの施設が少ない。
- 夜間は人通りが少なくなる場所もあり、女性の一人歩きは注意が必要。
8. メーダン (Maidan)
メーダンは、コルカタの中心部に広がる広大な緑地公園で、「コルカタの肺」とも称される市民の憩いの場です。その広さはなんと約400ヘクタールにも及び、クリケットやサッカーを楽しむ人々、ジョギングをする人、ピクニックをする家族連れなど、様々な市民の日常風景が広がっています。
公園内には、ヴィクトリア・メモリアルや聖ポール大聖堂など、主要な場所も点在しています。コルカタの喧騒から離れて、広々とした空間でリラックスしたい時には最適な場所です。
夕方には涼しい風が吹き、多くの人々が集まって思い思いの時間を過ごします。
警戒リスク – レベル3
- 広い敷地内の人目につきにくい場所や夜間での強盗、性犯罪のリスク。
- 親しげに近づいてきて、飲食物を勧め、睡眠薬を混入させる「睡眠薬強盗」。
- 「無料のクリケットレッスン」「占ってあげる」などと誘い、最終的に金銭を要求する詐欺。
対策
- 夜間の一人歩きは絶対に避ける。日中でも人通りの少ない場所へは立ち入らない。
- 見知らぬ人から勧められた飲食物は絶対に口にしない。
- どんなに魅力的な誘いであっても、見知らぬ人からの申し出は全て断るという鉄則を守る。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- コルカタの中心にあるオアシス。広々としていて開放感がある。
- 地元の人々の日常的な生活風景を垣間見ることができる。
- クリケットやサッカーの練習風景を見るのが楽しい。
気になる点
- 特に観光施設があるわけではないため、興味がないとただの広い公園。
- 非常に広大なので、全てを見て回るのが大変。
- 夜間は人通りが少なくなり、治安が悪くなるので注意が必要。
9. セント・ポール大聖堂 (St. Paul’s Cathedral)
セント・ポール大聖堂は、コルカタの中心部に位置するゴシックリバイバル様式の美しい教会で、ヴィクトリア・メモリアルのすぐ隣にあります。その壮麗な白い外観と、内部のステンドグラスが織りなす光の芸術は訪れる人々を魅了します。
騒がしいコルカタの街中にありながら、一歩足を踏み入れると静かで厳かな雰囲気に包まれ、心が落ち着くような感覚を覚えます。イギリス植民地時代の面影を残す歴史的な建造物であり、礼拝の時間以外でも見学が可能です。
写真撮影にも適しており、特に晴れた日には、ステンドグラスから差し込む光が内部を美しく彩ります。
警戒リスク – レベル1
ヴィクトリア・メモリアルに近いため、周辺でしつこい物乞いやタクシーの勧誘に遭遇することがあります。寺院内での直接的なトラブルは少ないです。
対策
- 毅然とした態度で断り、無視して立ち去る。
- 静かな場所なので、大声を出したりせず、落ち着いて対応する。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- 壮麗な建築で、特に内部のステンドグラスが美しい。
- 非常に静かで落ち着いた雰囲気で、心が休まる。
- ヴィクトリア・メモリアルやインド博物館と合わせて訪れると良い立地。
気になる点
- 厳かな場所なので、大きな声で話したり、騒いだりすることはできない。
- 短時間で見学が終わってしまうと感じる人もいる。
10. タゴール・ハウス(ジョラサンコ・タクールバリ) (Jorasanko Thakur Bari – Rabindranath Tagore’s House)
タゴール・ハウス、通称ジョラサンコ・タクールバリは、アジア初のノーベル文学賞受賞者である詩人ラビンドラナート・タゴールの生家であり、現在は博物館として一般公開されています。コルカタの北部に位置するこの歴史的な邸宅は、タゴール家が代々暮らした場所であり、彼の生涯と文学活動の軌跡をたどることができます。
博物館では、タゴールの直筆原稿、絵画、写真、家具などが展示されており、当時のインドの文化的・知的な雰囲気を肌で感じることができます。インド文学や歴史に興味がある方にとって、有益な場所です。
警戒リスク – レベル2
北コルカタという場所柄、観光客が少ないエリアでは、よりしつこい物乞いや、観光客を狙った勧誘があるかもしれません。
対策
- 博物館の入場券は正規の窓口で購入する。
- 周辺で声をかけてくる「自称ガイド」や「お土産屋への誘導」には応じない。
旅行者の本音|口コミ
ポジティブな声
- タゴールの生涯やインドの文豪について深く学ぶことができる。
- 歴史的な建物自体が美しく、当時の生活が偲ばれる。
- 彼の作品や思想に触れることができ、感動する。
気になる点
- 北コルカタにあり、他の主要観光地から少し離れている。
- タゴールにあまり詳しくない人には、少し退屈に感じるかもしれない。
コルカタを安全に楽しむための共通の心構え(最重要)
これらの対策をしっかり行うことで、リスクを最小限に抑え、より安全で快適なコルカタの旅を楽しむことができます。以下の基本を常に意識してください。
- 「無償の親切はない」と心得よ: 特に日本語で話しかけてくる親切な人には最大限の警戒をしてください。彼らは何らかの金銭的な要求を最終的にしてくることがほとんどです。
- 毅然とした態度で断る: 曖昧な態度だとつけ込まれます。はっきりと「No, thank you.」「No money.」と、しかし冷静に伝えてください。
- 貴重品は分散・厳重管理: 大金を持ち歩かず、パスポートや大金はホテルのセキュリティボックスに預けるのが基本です。
- 安全な移動手段の確保: 配車アプリ(UberやOlaなど)を積極的に利用し、メーターのないタクシーやリキシャには注意しましょう。
- 夜間の一人歩きは絶対NG: 人通りが少ない場所は昼間でも注意し、夜間は特に危険です。
- 体調管理と衛生対策: 水道水は飲まず、屋台の食事には細心の注意を払いましょう。
- 現地の最新情報を確認: 外務省の海外安全ホームページや、宿泊先のスタッフに周辺の治安状況を確認しましょう。
コルカタは非常に魅力的で刺激的な都市ですが、これらのリスクを事前に理解し、心の準備をしておくことで、きっと忘れられない素晴らしい旅となるでしょう。
実際に危険な体験をされたエピソードなどをお聞かせください。