ベトナムは活気ある街並みと人懐っこい国民性で多くの旅行者を惹きつけますが、同時に歴史的背景や儒教・仏教文化に根差した礼儀作法が強く残る国でもあります。
この記事では、日本人旅行者が無意識にやってしまいがちな「やってはいけない行動」と、逆に「これを心がけると好印象」なポイントをまとめました。現地の人々との円滑な交流や、快適な旅のためにぜひ参考にしてください。
1. お金を片手で渡す/投げるように渡す
ベトナムでは、お金の受け渡しも相手への敬意を示す行動のひとつです。乱雑な扱いは相手を見下している印象を与えることがあります。
- 片手で渡す、投げるように差し出すのは無礼に見える
- 両手で渡す、または片手+もう一方の手を添えると丁寧な印象
- レストランや市場で特に気をつけたい所作です
2. 声を荒げる/人前で怒る
ベトナム人にとって「面子(メンツ)」はとても重要で、特に人前で怒鳴るような行為は、相手に恥をかかせると受け取られます。これは人間関係の断絶に繋がる可能性もあります。
- ベトナム人はプライドを大切にする傾向があり、人前で怒ることは「恥をかかせた」と受け取られる
- 感情的な行動は相手との関係を悪化させるだけでなく、場の空気を壊すことにもなる
3. 靴のまま室内に上がる(特に家庭や寺院)
靴は外の汚れを持ち込むものとされ、清浄な空間に持ち込むことは非常に無礼とされています。寺院や家庭では「清潔さ」が敬意の表現とされており、靴を脱がずに上がるとその文化を軽視していると取られることがあります。
- 家庭訪問、ローカルゲストハウス、寺院では基本的に靴を脱ぐ文化がある
- 店先にスリッパがある場合は、それが「脱いでください」のサイン
4. 肩をたたく/頭に触れる
儒教や仏教の影響で「頭は魂が宿る神聖な場所」と考えられています。特に子どもの頭を触る行為は親でも慎重に扱います。旅行者が不用意に触れると、無礼・不吉と捉えられることがあります。
- 頭は神聖視され、特に子どもの頭をなでるのは失礼とされる
- 肩をポンと叩くのも親しみではなく「馴れ馴れしい」と感じられることもある
5. 手招きの仕方に注意(上向きはNG)
ベトナムでは、手のひらを上にして指を曲げるジェスチャーは「犬などの動物を呼ぶ」際に使われる仕草です。人に対して使うと非常に無礼とされ、見下していると受け取られます。
- 手のひらを上にして指を曲げるのは動物に対する呼び方
- 人を呼ぶときは手のひらを下に向けてゆっくり動かす
6. 公共の場でのスキンシップ
儒教的な価値観が根強く、公共の場での恋人同士のスキンシップは「慎みがない」「礼儀がない」とされます。家族連れや年配者の多いエリアでは特に注意が必要です。
- カップルのキスや抱擁は控えめに
- 観光地では許容される場面もあるが、基本的には避けた方が良い
7. 無遠慮な写真撮影
写真を撮られることに対して強い拒否感を持つ人も多く、特に年配者や宗教者に無断でカメラを向けると「不敬」だと感じられます。また、農村部では“魂を抜かれる”と信じる人もおり、文化的背景への理解が重要です。
- 特に年配者や宗教者を無断で撮影するのは無礼とされる
- 撮影前に軽く笑顔でジェスチャーか、一言「オッケー?」と聞くだけで印象が大きく変わる
8. 食事の場で箸を茶碗に刺す
これは仏前で供物を供える際の作法であり、日常の食事では「死者への儀式」とされて不吉とされます。家庭でも飲食店でも避けるのがマナーです。
- 仏前に供える際の作法とされ、縁起が悪い行為
- ベトナムでもこれはタブー
9. 足を高く上げる/人に向ける
足は身体の中でも“最も低く、汚れている”部位とされます。その裏側を他人に向けたり、人をまたぐ行為は「相手を侮辱している」と捉えられやすく、特に年配層や保守的な地域では注意が必要です。
- 足の裏を他人に見せる、椅子に座って足を組んで向けるなどの行為は無礼
- 公共の場や店内でリラックスしすぎないことも大切
10. 順番を守らない・割り込み行為
日常的に混雑が多いベトナムでは、公共の場での順番意識が強く、割り込みは強い非難の対象になります。特に観光地や空港、ATMなどでは「マナーが悪い日本人」として見られるリスクがあります。
- 観光地の行列やATMでの順番はしっかり見られている
- 「日本人なのにマナーが悪い」と印象を持たれることもあるため要注意
11. 法律違反につながる行為(知らなかったでは済まされない)
ベトナムでは、旅行者が無意識のうちに法律に触れる行動を取ってしまうケースもあり、重大なトラブルに発展する可能性があります。
- 麻薬の所持・使用:ベトナムでは麻薬犯罪に厳罰が科され、所持・使用で死刑になる場合もあります。
- 不法就労(観光ビザで労働):観光ビザで報酬を得る活動(ガイド・出演・販売補助など)は違法。罰金・国外退去の可能性あり。
- 一時滞在登録の未実施:ホテル以外に宿泊する場合は、公安への滞在登録が義務。怠ると罰金の対象に。
- 売春や買春行為:ベトナムでは売春・買春ともに違法。観光客が関与するとSNSなどで炎上し、強制送還になる可能性も。
- 公共の場での喫煙・ポイ捨て:観光地や市街地では罰金対象。
- 偽ブランド品の購入・持ち込み:空港での摘発・没収・罰金につながることも。
- 賭博行為への関与:カジノ以外での賭博は違法。旅行者が巻き込まれる事件も報告されています。
知らなかったでは済まされない違反が多く、特に麻薬・売春・不法労働は非常にリスクが高いため、旅前に確認しておくことが重要です。
ベトナムで好印象を持たれる行動・心がけたいポイント
1. 挨拶と感謝をしっかり伝える
- 「シンチャオ(こんにちは)」「カムオン(ありがとう)」など現地語を一言でも使うと喜ばれやすい
2. 笑顔で接する
- 真顔よりも笑顔のほうが相手の警戒心を和らげ、親しみを持たれやすい
3. 靴を脱いだらきちんと揃える
- 脱ぎっぱなしではなく、揃えることで礼儀を示せる
4. 地元料理を試す、ローカルに敬意を払う
- 屋台などでも「美味しい」「ありがとう」を伝えるだけで印象が良くなる
5. 丁寧な言葉遣いと、落ち着いた行動
- 店員に対しても敬意を忘れず、トラブル時も冷静に対応する
6. 軽く会釈・うなずきでの反応を大切に
- 言葉が通じなくてもリアクションで丁寧さが伝わる
まとめ|ベトナムの文化を尊重して旅を楽しもう
ベトナムは親切な人が多く、旅行者にも寛容な国ですが、「敬意ある態度」を大切にする文化があります。
少しの言葉づかいや行動の違いが、大きな印象の差を生みます。現地を尊重する姿勢を持って、より深くベトナムを楽しんでください。
実際に危険な体験をされたエピソードなどをお聞かせください。